電気図面

電気図面の作成について説明します。

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AutoCadで作成した基本的な電気図面のサンプルです。

機械や設備が大規模になるにつれ、電動機が増えていきます。
現場ではほとんど、過去の電気図面をもとに案件ごとに図面を修正していきます。

今回のサンプル電気図面をもとに、各電気制御部品の説明をしていきます。

@ 漏電遮断器


漏電遮断器


漏電遮断器は漏電ブレーカーとも呼ばれ、 過電流やショート(短絡)のときだけでなく、電気が漏れたとき(漏電)も電気回路を自動的に遮断する機能を持ちます。
今回のサンプル図面では三相交流のメインブレーカーとして使用しています。

遮断器にはアンペアフレーム (AF)とアンペアトリップ (AT)と呼ばれる概念があります。

・アンペアフレーム (AF) 遮断器の容器の大きさ及び最大定格電流を表します。

・アンペアトリップ (AT) 遮断器の定格電流を表します。
つまりATを超えた電流(アンペア)が流れれば電気回路が自動的に遮断します。

A 過電流遮断器


過電流遮断器


過電流遮断器は単にブレーカーとも呼ばれ、 過電流やショート(短絡)のときに電気回路を自動的に遮断する機能を持ちます。

なお遮断器のアンペアトリップ (AT)の選定値は、電気設備技術基準に数式で決められていますが、 現場ではメーカーの選定表で選定します。

ところで三相交流の電力を求める公式は以下となっております。

従って電動機の有効電力から定格電流(適正な使用方法による電流値)を求めるときは以下数式となります。

現場では以下計算で行っています。力率0.8、効率0.9としています。
ヒーターの場合は力率1、効率1とします。

B 電磁接触器


電磁接触器


電磁接触器はマグネットコンタクターとも呼ばれ、 電磁石の動作によって電気回路を開閉します。 特に電動機(モーターなど)を制御するのに使用します。

電磁石を動作させるには、コイルと呼ばれる部分に電圧(AC200VやDC24V)をかけます。 コイルに電圧をかけるのはPLCの出力制御により行います。

PLCからの出力電圧を直接コイルにかける場合と、リレーを経由して電圧変換(DC24V→AC200V)してから コイルに電圧をかける場合があります。

リレーに関しては「C インバータ」で説明します。

C インバータ


インバータ


インバータは直流電力から交流電力を電気的に生成する電源回路と定義されますが、 電気制御の世界では電動機に与える電力の周波数を変えるために主に使用されます。

電動機に与える電力の周波数を変えると省エネにもなりますが、主な目的は電動機の速度を変更するためです。

三相電動機は交流電力の周波数によって回転速度が変化します。(周波数を上げると速度も速くなる。)

PLCから制御することでセンサーの近くでは低速にするなどの制御が可能です。

PLCからDA変換する(デジタル値に基づいて電圧や電流の値を変化させる)ことにより、 細かく周波数を制御することも可能です。(当方もそのようなシステムを構築した実績があります。)

しかしながら、多くはPLCからリレーのスイッチを切り替えることにより3段階程度(高速・中速・低速)の 周波数切り替えを行います。

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上の図面はインバータの周辺回路です。
CRY1〜CRY4のリレーをPLCから切り替えることで周波数の切り替えを実現しています。


リレー

なお、リレーとはコイルと呼ばれる部分に電圧(AC200VやDC24V)をかけることにより、 電気回路のスイッチが繋がる(あるいは離れる)電気制御部品です。 流れる電流が少ない電気回路を切り替え、電圧を変換するのに使用されます。

例えば、PLCからコイルにDC24Vの電圧をかけ、AC200Vの電気回路のスイッチを繋げることにより、 電圧変換を実現します。

D 電磁開閉器


電磁開閉器


電磁開閉器はマグネットスイッチとも呼ばれ、 電磁接触器に過負荷により回路を遮断するサーマルリレーが付属したものです。

サーマルリレーは電動機の過負荷(※このとき電流が異常に流れることにより発熱する)により、 電気回路のスイッチを繋げる(あるいは離す)電気制御部品です。

このスイッチを電磁接触器のコイルに電圧をかける回路に挿入することにより、 モーターが異常により熱を持ったとき自動的にモーターの電気回路を遮断し停止させます。

またPLCの入力信号に追加することにより、PLCに異常を知らせることができ、 タッチパネルに異常を表示したりブザーを鳴らしたりすることができます。

E トランス


トランス


トランスは変圧器とも呼ばれ、交流電力の電圧を変化させるために使用されます。

今回のサンプル図面では交流220Vを交流100Vに変換するために使用されています。

なお、トランスによる交流電圧の変換前と変換後の皮相電力(=電圧×電流)に変化はありません。

つまり電圧が低く変換された分、電流は増加します。

F パワーサプライ


パワーサプライ


パワーサプライとは直流安定化電源とも呼ばれ、電気制御では交流電源(AC100V〜440V)を直流電源(DC24V)に変換するために使用されます。

直流電源(DC24V)はPLCの入出力ポートの電源として必要になることが多いです。 (※こちらを参照。)
またタッチパネルの電源として使用することもあります。

なお、もしパワーサプライの電源のプラス側とマイナス側がショート(短絡)したときは パワーサプライの電源自体が落ちる仕組みになっているものが多いです。

G サーキットプロテクタ


サーキットプロテクタ


サーキットプロテクタは過電流遮断器(ブレーカー)と役割は同じなのですが、主に0.05A〜100A程度の定格で使用され、 ブレーカーに比べ小さく、細かな定格電流と機器に応じた遮断特性となっています。

電気制御ではPLCやタッチパネルの電源の遮断器としてよく使用されます。

H ラインフィルタ


ラインフィルタ


ラインフィルタとは電源ノイズを低減する電気制御部品です。PLCといった繊細な電気部品と電源の間に挿入します。

PLCにパワーサプライ経由で電源を供給するときは省略する場合が多いです。

I タッチパネル


タッチパネル


タッチパネルはみなさんよくご存じと思います。某回転寿司屋さんで注文の際に使用したりしていますよね。

電気制御の世界でもユーザーインターフェースとして使用されます。

PLCとはLAN経由やRS232C通信で繋げることが多いです。

なおタッチパネルの設計はパソコンの専用ソフトで行うのですが、お絵かきする感じで部品を張り付けていくだけです。

プログラミング能力は全く必要なく、デザイン能力が必要とされます。

画面上の部品(ボタンとかテキストボックス)にPLCのデバイス(M番号とかD番号)を設定していくだけで PLCと通信することが出来ます。

通常はプログラムを組むことは全くありません。(高度な使用の仕方をする場合を除く。)

J PLC


PLCは一般的にはシーケンサと呼ばれます。
詳しくはこちらをご覧ください。